30数年前、私たちが歯科医師になった時の歯科医師の主な仕事は、
当時「虫歯の洪水」と言われるくらい、日本人の90%近くに虫歯があったので、
虫歯のがらみの治療や歯が抜けた人に、入れ歯やブリッジを入れたり、
当時始まったばかりのインプラントを入れることでした。
また、歯周病や歯の根の病気の手術や今と変わらない親知らずの抜歯をしていました。
と、同時に、将来の歯科医療を見据えて、当時は、少し懐疑的だった成人の矯正治療や
歯科と全身の関係性の研究と社会に対する啓蒙活動を始めていました。
それで、10年位前あたりからは、虫歯や歯周病の患者さんが、減り始めて、代わりに今でいう
全身歯科の患者さんが、増えてきて、がんやアトピーなどのアレルギー疾患、リウマチなどの膠原病や潰瘍性大腸炎などの
自己免疫疾患の患者さんを、医科歯科協同で診ることが増えてきました。
ただ、日本の場合は、まだ多くの人が歯科と全身の結びつきを理解できないようなので、
病気になって、治療をしても良くならない人や病気の原因も治療法も不明といわれて、困っている人たちが多いのが
残念です。
一応、腸の大切さは理解されるようにはなりましたので、もう一歩前進して、口や鼻やのどや足の
大切さを理解してもらえれば、がんなども昔のように稀な病気に、なっていくのではないかと
思っています。
口の中の細菌やその毒素やそれらが全身の様々な箇所でひき起こす、病気の事を
単にその部分の病気ではなくて、その根本原因がどこにあるのかを考えてもらえる世の中に
なってくれるといいな といつも思っています。
虫歯も歯周病も全身の病気です。
歯科医院の役割は、その全身の病気を予防することに変わってきました。
日本でも地域によっては、虫歯が一本もない人たちが多くなりましたし、
歯周病もひと昔前のように、手術までしなくても予防も治療もできるようになりました。
歯科医院の役割が、街の健康ステーションへと変わってきています。
もちろん口の中だけでなく、全身のです。